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Report (2007 Sep-Oct)

2020 / 03 / 24  15:51
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Mt. Dhaulagiri 1, Himachal Pradesh - Nepal

Mt. Dhaulagiri 1, Himachal Pradesh - Nepal

ネパール - ヒマーチャル・プラデーシュ州

ダウラギリ山1(8,167m)の麓イタリーベースキャンプへ
自生している水晶を探しに

2007年 9月 - 10月

まずは友人ケシャンの故郷(約2,400m)へ向かうため
ポカラからローカルバスに乗り登山口があるビマ村まで移動する。
ビマ村の宿に1泊し翌朝出発。

: 

ケシャンとはインド北部で出会い
里帰りも兼ねたダウラギリ行きのタイミングも重なり
イタリーベースキャンプまでを賄っているバガラの村人と共に導いてくれた。
ケシャンの家族と会えることも楽しみのひとつ。

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夜間に着くとケシャンのお母さんが出迎えてくれた。
ネパールではお馴染みのお米に牛のミルクをかけて夕食をいただく。

明日の出発に備えて離れの小屋を借りて眠りについた。

目覚めてすぐケシャン家の周辺を歩いて
陽射しを浴びながら雪解け水で身体を洗った。

ケシャンの家族は麦や穀物の畑と水牛や鶏を家畜で育て
ネパール式ストローベイルハウスやトイレなどすべて手作り。
調和と循環の自然を敬う暮らしをしていた。

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出発前にはケシャンのお兄さんが玄関前で儀式的に鶏を絞め
その肉を使って作られたスープをいただく。
それは最高のもてなしであるとケシャンが話していた。

ケシャンとお兄さんは骨も余すことなくゴリゴリと音を立てて骨の髄まで食べていた。

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△ケシャン家族と村の子どもたち


ダウラギリ山へ向けてはじめのポイントまで歩き始める。

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△写真中央に蜜蜂の巣がたくさん

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△滝や温泉もそこかしこに 

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△シコクビエ(四石稗)畑

ネパール焼酎ロキシーRaksiの原料にされたり
脱穀後に石臼で粉にして練り団子などにして食べられている。

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△歩き始めて3日間くらいは雨で足場が悪く滑りやすい

左側は急な崖なので覚悟して通る。
帰りは石積みの階段が完成していた。
※これは帰りの写真

現地の言葉で「ジュガ」と呼ばれている小さなヒルが
気づくと足首に吸い付いていることがよくあった。
見た目は気持ち悪いけど悪い血を吸ってくれるのは有難い。
無理に取ろうとすると血が止まらなくなる。

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△道中こういった小屋が休憩ポイントとなっていて雨が続くと何泊もすることに 

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 △荷物を持って道案内をしてくれたバガラの村人ママ(←名前)

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ここでも1泊。

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△バガラ村から眺める山。

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△村人お手製の吊り橋。連日の雨で水の流れが強い。

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△ケシャンと村人

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△この池の辺りからスピード上げぎみにラストスパート

雨も降り始めたので暗くなる前に着きたい。

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陽があるうちに目的地ダウラギリ山1麓のイタリーベースキャンプ(約3,500m)に到着。

霧が濃くまだ全貌は見えずともすでに言葉をなくすほど。

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雪崩が落ちる音と共に地響きを幾度も感じた。

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目覚めてすぐにテントから外へ出ると
霧のない澄んだ空気が漂っているのを皮膚で感じ
今日こそはと山に目を向けた。

快晴!

東から昇る朝日を受けて
白い山とその頂の方までもくっきりと確認できた。

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 △ダウラギリ1を背にダウラギリ2を眺める

ダウラギリ山は1〜4まであり、1が一番高い。
ネパールのヒマラヤ山脈には8千メートル級の山々が多く
世界各国の登山隊が登頂を目指して行き交う地。

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滞在した10日間のうち霧がかっていることが多く時には数メートル先さえも見えなくなる。

白い湯気のような煙のような霧が視界の全体を絶えずうごめいて

ゆっくりと移動していく。

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晴れていれば星々と月の存在をたっぷりと味わって

曇りや雨なら霧に包まれて水の循環を聞き

雷と風に警告を感じると

あと何日ここいることを許されるかを予測していた。

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在るものすべてが活き活きとシンプルに

身体と心の芯が整って行く。

お母さんに抱っこされている赤ん坊のような感覚を何度も感じていた。

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水晶

水晶の存在は山道の足元や岩場などそこら中に見られたけど
いわゆる六角柱状の水晶は
すでに削られたあとのものばかりだった。
村人に聞くとローカルでも過酷な場所へ行かないと見ることも難しく
観光者が簡単に行けるような場所にはもう残されていないという。

私たちは採掘が目的ではなく活きている水晶を直に見て触れてみたかったのだけど
どうやらこの近辺の自生したものは
すべて村人が蓄えて管理されているらしい。

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 △チベット国境のあるMustangムスタンへとぬける道
アリ地獄のよう

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落石で死人が出たと村人が話していた。
落石があった場所は2日前に歩いてきた道だと知り
背筋がピンと張りつめる。
運が悪いと即死の恐れがあると聞いていた。

重い荷物を持って移動する場合にも
重心が傾いて落下するケースも多々あるようで
常に緊張感があった。

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到着して数日後
フランス人など7、8人がイタリーベースキャンプへやってきて急に賑わしくなる。
登山のために道を整えるため
トランシーバーで何度も今後の天候や次の計画について話しているようだ。
ヒマラヤの案内人であるシェルパの村人も何人か同行していた。
滑りやすい岩場の石積み階段も彼らが関わっているとか。

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バガラの村人は自家製のロキシーRaksi(焼酎)を持ち寄り
いつも人が集まると飲み交わしていた。

雨で身動きが取れない時に毎日来ていたある村人は
私たちが2日間かけて来た道を半日でやってくる。
ロキシーを目一杯飲んで
いつも短パンとぺったんこのサンダルか裸足の様相で
陽気に村を行き来していた。

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△山を降りる前にバガラの村人と

数日後に雨が降り出すと村人が教えてくれて
出発の日が決まった。

テントをたたんで降りる準備が整った。

ヒマラヤのエネルギーが全身の細胞に活き活きと満ちて
ここに辿り着いたときとはまた別の感覚だ。

再びケシャンの家へと山を降りる道中
バガラ村には顔の知った村人が幾人かいて
別れの言葉を交わしてダウラギリから少しずつ遠ざかっていった。

ケシャンの家に着くと陽気に温かく迎えてくれる家族に安堵した。

翌日ポカラ 〜 インド、ヒマーチャルへ

:

ケシャン、ママ、バガラの人々、タカ、本当にありがとう。

धेरै धेरै धन्यबाद !

 :

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村人との話のなかでよく話題になっていたのは
地球温暖化による気候変動や山への影響ついて。

山の氷河が溶けて氷河湖へ流れる水が急増し
このまま温暖化が進めば氷河湖が決壊すると言われて長らく経ちます。
水位が上昇し続けて洪水が起これば多くの犠牲者が出ると言われ
その被害はヒマラヤ山域国のみならず下流国にも及ぶとも。

他にも多くの伐採が行われ森が消えて土砂崩れを引き起こしていたり
冬虫夏草の奪い合いが起こっていたり
トンボの大量死が目撃されていたり
ヒマラヤにも様々なサインが現れていることを
年々重く感じ受けます。

 

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水晶についても同じことで
採掘の際にはダイナマイトを使用することもあり
それによって死者が出たこともあったそう。

取り尽くす勢いの圧力に興ざめた気持ちになったことも
貴重な体験の一つだった。

ヒマラヤでも環境保護のため採掘禁止とされているところが
今では多くなっていると聞きますが
石に触れることにご縁を受けている私自身を含め
ひとつの選択がどう影響して行くのか
特別に意識すべきことだと改めて感じます。

目的はきっかけに過ぎず
水晶と引き換えに最も大切な教えを得たことは
これからも御守りのように
感じ直して行きたい。

ヒマラヤの息吹に
尊敬と感謝を込めて

Apr. 2020

 

IMG_2029.jpgDhaulagiri-Mountain-Map.png

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